Published 27 May 2025

佐々木健二の考える“サービスとしてのデザイン”とは?

佐々木健二の考える“サービスとしてのデザイン”とは?

こんにちは、佐々木健二です。


突然ですが、「いいデザイン」と聞いて、皆さんはどんなものを思い浮かべますか?

スタイリッシュな空間、美しく整った配色、高級感のある家具…。

確かに、見た目の美しさはデザインの大切な要素です。


でも、私が現場で数多くのオフィスや店舗に関わるなかで強く感じているのは、

見た目だけでは解決できないことが、空間にはたくさんあるという事実です。


たとえば、社員のやる気が出ないオフィス。

居心地が悪く、会話が生まれない会議室。

見た目はきれいでも、働く人たちの「本音」に寄り添っていない空間は、

本当に“いいデザイン”とは言えないのではないか——。


この記事では、そんな私の考える「サービスとしてのデザイン」という視点から、

インテリアや空間づくりがどのように人や組織に貢献できるのかをお伝えしたいと思います。




■デザインは「見た目」よりも「人のため」


空間デザインというと、おしゃれで美しい見た目を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし私にとってのデザインとは、「その場所で過ごす人が快適に、そして前向きに働けるかどうか」を第一に考える行為です。



たとえば、オフィスのレイアウトを少し見直すだけで、社員同士のコミュニケーションが活発になったり、ストレスを感じにくくなったりすることがあります。

それは単に家具を置き換えるという話ではなく、“どうすればこの空間が誰かの助けになるか”というサービス的視点があるかどうかだと思うのです。




■ヒアリングから始まる「寄り添うデザイン」


私の仕事のスタート地点は、クライアントの声を聴くことです。

理想のオフィス像や現在の悩み、社員の働き方、チームの空気感。こうした情報を丁寧に引き出し、単なる“かっこいい空間”ではなく、現場にフィットする実用的なデザインを心がけています。


過去に携わったプロジェクトでも、「窓際に誰も座りたがらない」という話を聞き、日差し対策と視線の調整を同時に行う木製パーテーションをDIYで提案したところ、社員がその場所を気に入って“ちょっとしたリフレッシュスペース”として使うようになりました。



これはまさに、「空間の課題をサービス視点で解決するデザイン」の一例です。




■「自分たちの空間」という愛着を生む


私は、DIYを取り入れたデザインも多く手がけています。それは予算を抑えるためだけではありません。

社員自身が手を動かして空間づくりに関わることで、「自分たちの場所」だという愛着が自然と生まれ、職場への帰属感やモチベーションにもつながるからです。


空間は、“提供するもの”から“育てるもの”へと進化しています。

だからこそ、私はデザイナーというより、空間づくりの伴走者でありたいと思っています。




■さいごに|“空間を変える”は、“関係を変える”こと


空間デザインの仕事に携わっていると、いつも思うことがあります。

それは、デザインとは見た目を整える行為ではなく、「そこにいる人の行動や関係性に変化をもたらす力を持っている」ということです。


「座席の配置を変えただけでチームの会話が増えた」


「自然光を取り入れたら、社員の表情が明るくなった」


そんなささやかな変化の積み重ねが、企業の文化や働き方そのものに影響していく。

空間を変えることは、そこにいる人たちの関係や意識を変える、まさに“サービス”としての役割を果たしているのだと感じます。


これからも私、佐々木健二は見た目の美しさだけでなく、使う人の気持ちに寄り添った空間づくりを大切にしながら、

「デザインを通じて、誰かの毎日がちょっと良くなる」

そんな実感を届けられる仕事を続けていきたいと思います。


空間づくりに正解はありません。

だからこそ、一つひとつのプロジェクトに丁寧に向き合い、

その場にしかない答えを、クライアントの皆さんと一緒に見つけていけたら嬉しいです。