Published 05 Oct 2022

資金調達のデジタル化を行う「Party Round」が、リブランディングを実施

資金調達のデジタル化を行う「Party Round」が、リブランディングを実施

2022年10月5日、スタートアップの資金調達をオンラインで簡単にできるようにするフィンテックプロダクトを提供するParty Roundが、リブランディングを行ったことを発表した。このリブランディングにより、Party Roundの社名は「Capital」に変更になり、提供するプロダクトの範囲も拡大する。

パーティラウンドとは、アメリカのスタートアップ業界で一度に多数のエンジェル投資家やVCが参加する資金調達ラウンドのことを指す。通常、アーリーステージのスタートアップが多くの投資家から資金調達をすることは、資本政策が複雑化し、管理が困難になることから、避けたほうがよいとされているが、近年シリコンバレーを中心に、戦略的にあえて多数のエンジェル投資家を株主として巻き込むことにより事業の推進を図る事例が増えてきている。

今回リブランディングを行ったParty Roundは、これまで名前の通り「パーティラウンド」を実施する際に、多数の投資家から出資を受けても資本政策が複雑化することなく簡単に管理できるようにするためのプロダクト群を提供していた。これには、多数の投資家が一つの投資ヴィークルを介してスタートアップに投資するためのSPVのような機能や、その後の資本政策を管理するためのキャップテーブルマネジメントツール、現金と暗号通貨の両方で出資を受けることを可能にする機能、オンラインでの署名ツールなどを提供などが含まれていた。

しかし今後は、パーティラウンドでの資金調達を容易にするだけでなく、スタートアップ創業者が財務を管理・処理するための技術スタックを総合的に構築したいと考え「Capital」に社名を変更したようだ。創業者兼CEOのJordy Haysはこれまで行ってきたミーム的なマーケティングやプロダクトについて以下のように語っている。

「Party Roundは、生きているミームのようであり、進化し、コミュニティを楽しませようとしてきました。しかし、企業としての野心や、プロダクトとしてやりたいことは違います。資金調達や投資は、スタートアップのメディアでとても注目されていますが、実際に会社を作り上げるのに必要なことのわずか1〜5%くらいでしょう。私たちは、創業から18ヵ月の間、Twitterでのスタートアップ界隈向けのチャネルに集中してきましたし、それがベストな戦略だったと思います。実際、私たちのメーリングリストには10万人のアーリーステージの起業家がサインアップしています」

リブランディング後のCapitalのプロダクトは以下のようになる。

創業者は、Capitalを利用してSAFEの契約書作成と条件設定を行い、Capitalを通じて投資家に出資を呼びかけることができる。投資家は、Capitalのアカウントを銀行口座とリンクさせ、現金または暗号通貨で投資することができる。希望する投資家には、投資の証明となるNFTが付与される。この一連のプロセスのバックエンドとなる事務手続きはすべてCapitalが行う。その後投資が実行され、創業者はCapital上でコーポレート用の銀行口座を開設しデビットカードを発行することにより、支払いや送金を行うことができる。

アメリカでスタートアップのコーポレートカードおよび支出管理に使われているRampや、人事を中心に財務などバックオフィスをサポートするSaaSのRipplingなどを接続して利用することも可能なようだ。コーポレートカードや支出管理のユニコーンである「Brex」や「Ramp」などと競合していくことになるが、CapitalはParty Roundのときから提供していた資金調達ツールをきっかけとし、小規模なスタートアップにフォーカスすることで差別化を図るとのことである。