Published 30 Aug 2021

投資契約

投資契約

投資契約は、投資に関する企業、経営陣、投資家の利害関係を調整し、後にトラブルが生じることを回避するために必 要な契約になります。通常は、投資を受ける際に、投資家側(VC・エンジェル・事業会社)から提示をされます。

投資契約の必要性

会社法の観点では、企業が新株発行による資金調達を行うためには法定された手続を遵守すればよく、投資契約の締結義務はありません。しかし、投資家側は、投資先に万が一何らかの問題が生じた場合の保証がほしいと考えるのが一般的です。したがって、投資契約を締結することで、何らかの制限や損害賠償請求等をすることができる規定を定めます。


投資契約の構成

一般的な投資契約の構成は下記のようになっています。

1. 投資に関する基本事項

2. 投資の前提条件に関して

3. 株式に関して

4. 会社の運営に関して

5. 投資の撤退に関して

6. 一般条項に関して


投資契約書の種類

投資契約は最大で4種類存在し、以下の内容が一つの契約書に纏まっているケースもあれば、複数に分かれているケースもあります。


① 投資契約書:投資条件を定めるための契約書

② 株主間契約書:投資後の企業と各株主との権利義務を決めるための契約書

③ 総数引受契約書:登記を行うための契約書

④ 財産分配契約書:Exit(M&Aや上場)した際の分配条件を定めた契約書


交渉方法

投資家との交渉を行う際は、主に経営に関する自由と責任の度合いに着目します。投資家と企業のどちらか一方に必要以上に有利な規定を入れてしまうと、関係性に悪影響が生じかねないため、互いにフェアであると納得できるよう折り合いをつけていくべきです。


投資契約における注意点

投資の契約を締結する際に注意しなければいけないことが3つあります。


1. 株式の希薄化に関して

新たな投資家に新株発行を行う際は、既存株主の持ち株比率の低下や従業員のストックオプションの付与の制限に繋がってしまわないか事前に確認するべきです。


2. 経営の自由度に関して

資金使途の制限やEXITに向けた努力義務の制定によって、企業の成長スピードや柔軟性に過度な制限がかかってしまうことがないか確認するべきです。


3. 読み合わせの徹底

投資契約の締結は投資家と企業の双方の理解と認識が一致しなければ意味がありません。特に初めて投資契約を結ぶ起業家は、内容を正確に把握するために、投資家との質問や意見交換を行うなどして、建設的な話し合いを行うべきです。