Published 05 Jan 2026

なぜ富裕層は「平均点」を狙わないのか?インデックス投資の弱点を補完する、オルタナティブ資産の役割

なぜ富裕層は「平均点」を狙わないのか?インデックス投資の弱点を補完する、オルタナティブ資産の役割

富裕層が真に求めているのは、市場がどう動こうとも資産を守り、着実に増やす「絶対収益」の追求です。 そこでカギとなるのが、今回解説する「オルタナティブ資産(代替資産)」です。


はじめに:2025年、投資の「常識」を疑うとき

2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)の普及により、日本でも「S&P500」や「オール・カントリー(オルカン)」への積立投資が国民的なスタンダードとなりました。


確かに、資産形成の初期段階において、市場平均(=平均点)を狙うインデックス投資は最適解の一つです。


しかし、資産が1000万円を超え、さらにその上の富裕層・準富裕層を目指す段階に入ったあなたにとって、インデックス投資「だけ」で本当に十分でしょうか?


2025年12月現在、世界の株式市場は依然として高値圏にある一方で、地政学リスクやインフレの粘着性(スティッキー・インフレ)への懸念は消えていません。


市場全体が暴落した際、インデックス投資は「逃げ場」を失います。


富裕層が真に求めているのは、市場がどう動こうとも資産を守り、着実に増やす「絶対収益」の追求です。


そこでカギとなるのが、今回解説する「オルタナティブ資産(代替資産)」です。


本記事では、なぜ富裕層が株式や債券といった伝統的資産以外に資金を振り向けるのか、その理由と具体的な戦略を、最新の金融トレンドを交えて徹底解説します。


第1章:インデックス投資の「限界」と「隠れたリスク」

多くの投資家が信奉するインデックス投資ですが、万能ではありません。


特に資産規模が大きくなるにつれて、以下の弱点が致命傷になり得ます。


1. 「平均」は「全員一緒に損をする」ことと同義

インデックス投資は、市場全体の動き(ベータ)に連動します。


つまり、リーマンショックやコロナショックのような暴落局面では、資産も市場と同じだけ確実に減少します。


資産が100万円であれば30%の減少(マイナス30万円)は労働収入でカバーできますが、資産が5000万円の場合、1500万円の損失となります。


この精神的・実質的ダメージは、資産規模に比例して大きくなります。

2. 株式と債券の「相関」が高まっている

かつては「株が下がれば債券が上がる」という逆相関がポートフォリオの安定装置でした。


しかし、2022年のインフレ局面以降、「株も債券も同時に下がる」現象が頻発しています。


2025年の現在も、金利動向次第では伝統的な「株60:債券40」のポートフォリオが機能しないリスクが潜んでいます。

3. アルファ(市場平均を上回る超過収益)が存在しない

インデックス投資はあくまで「市場平均」を取りに行くものです。


市場自体が横ばい、あるいは長期停滞期に入った場合、資産は全く増えません。


富裕層は、市場環境に依存せずに利益を生み出す「アルファ」を追求します。


第2章:オルタナティブ資産とは何か?

オルタナティブ資産とは、上場株式や国債などの「伝統的資産」以外の投資対象の総称です。


これらは一般的に「市場との連動性が低い」という特徴を持ちます。

表:伝統的資産とオルタナティブ資産の比較


特徴

伝統的資産(株・債券)

オルタナティブ資産

主な投資対象

上場企業の株式

国債

社債

未上場株

不動産

インフラ

ヘッジファンド

アンティーク

流動性(換金しやすさ)

高い

(即日~数日で換金可)

低い

(数ヶ月~数年かかる場合も)

透明性

高い

(価格が毎日公表)

限定的

(評価額の算出が定期的)

市場との相関

高い

低い

(独自の動きをする)

期待されるリターン

市場成長に依存

(ベータ)

運用者の手腕や資産固有の価値(アルファ)

富裕層が注目する4つの主要オルタナティブ資産

  1. プライベート・エクイティ(PE)
    未公開企業(非上場企業)への投資です。経営陣と協力して企業価値を高めてから売却(IPOやM&A)することで、上場株式以上の高いリターンを狙います。

  2. プライベート・デット(PD)
    銀行からの借入が難しい企業などに対して、投資家が直接融資を行う仕組みです。2025年現在、銀行の貸出基準厳格化に伴い、高い利回り(イールド)が得られる資産として急成長しています。

  3. 実物資産(不動産・インフラ・コモディティ)
    オフィスビル、データセンター、再生可能エネルギー施設、金(ゴールド)などです。これらはインフレヘッジとしての機能が強く、現金の価値が目減りする局面で強さを発揮します。

  4. ヘッジファンド
    「売り(ショート)」や「デリバティブ」を駆使し、相場が上がっても下がっても利益を追求する絶対収益型の運用を行います。


第3章:なぜ富裕層は「流動性の低さ」を愛するのか?

「すぐに換金できない(流動性が低い)」ことは、一般投資家にとってはデメリットですが、富裕層にとっては「プレミアム(超過収益)」の源泉です。

「流動性プレミアム」の獲得

いつでも売買できる上場株式は便利ですが、その分、リターンは適正化されています。


一方、オルタナティブ資産は「一度投資したら5年~10年は資金を拘束される」という不便さの対価として、上場株式よりも高いリターン(流動性プレミアム)が期待できます。


「どうせ当面使わない余裕資金(1000万円以上の一部)」であれば、日々の価格変動に一喜一憂せず、じっくりと時間を味方につけて高いリターンを狙う。


これこそが、富裕層の思考法です。

感情的な売買の抑制

2025年のようにAIによるアルゴリズム取引が支配する市場では、ボラティリティ(価格変動)が激しくなりがちです。


流動性が低いオルタナティブ資産は、市場のパニック売りに巻き込まれることが物理的に不可能です。


結果として、強制的に長期投資が実行され、資産形成の成功率が高まります。


第4章:実践!「イェール大学モデル」に学ぶポートフォリオ

世界の機関投資家や超富裕層がお手本とするのが、米国の名門イェール大学の基金(エンダウメント)が実践する運用スタイル、通称「イェール・モデル」です。


彼らのポートフォリオの最大の特徴は、「圧倒的なオルタナティブ資産比率」にあります。

イェール・モデルの資産配分イメージ(例)

  • 上場株式(国内・先進国・新興国): 約10~20%

  • 債券・現金: 約5~10%

  • オルタナティブ資産(PE・ヘッジファンド・実物): 約70~80%


驚くべきことに、彼らは伝統的な株や債券をほとんど持っていません。


これにより、過去数十年にわたり年平均10%を超える驚異的なリターンを叩き出し続けています。

個人投資家(準富裕層)への応用:2025年版コア・サテライト戦略

いきなり資産の8割をオルタナティブにするのは現実的ではありません。


資産1000万円~5000万円層に向けた、現実的な配分案を提案します。


  • コア資産(守り):60%

    • 全世界株式インデックス(オルカンなど):40%

    • 高格付け債券または現金:20%

  • サテライト資産(攻めと分散):40%

    • プライベート資産(PE・不動産小口など):20%

    • 実物資産(金・コモディティ):10%

    • アクティブ投信・その他:10%


この「サテライト」部分にオルタナティブ資産を組み込むことで、「インデックスの成長」を享受しつつ、「暴落時のクッション」「追加的なリターン」を確保することが可能になります。


第5章:2025年最新情報! 個人がオルタナティブ資産にアクセスする方法

かつてオルタナティブ投資は「最低投資額数億円」という、超富裕層だけの特権でした。


しかし、2025年現在、テクノロジーの進化と法改正により、「オルタナティブ投資の民主化」が進んでいます。


資産1000万円以上の個人投資家がアクセスできる具体的な手段は以下の通りです。


1. 証券会社・銀行での「公募型」オルタナティブ・ファンド

大手ネット証券や対面証券では、個人投資家向けに設計されたプライベート・エクイティやプライベート・デットの投資信託が増えています。


  • 特徴: 最低投資額が数万円~数十万円程度と低い。

  • 注意点: 信託報酬などのコストがやや高めになる傾向がある。

2. オルタナティブ投資プラットフォームの活用

「Funds(ファンズ)」や「Alterna(オルタナ)」、「LUCA(ルカ)」といった、オンライン完結型の投資プラットフォームが2025年にはさらに成熟しています。


  • 特徴: 企業への貸付ファンドや、不動産・インフラの小口化商品にスマホから投資可能。

  • メリット: 透明性が高く、特定のプロジェクトを選んで投資できる。

3. デジタル証券(セキュリティ・トークン / ST)

ブロックチェーン技術を活用し、不動産や社債を小口化したデジタル証券の発行が活発化しています。


  • 最新トレンド: 高級ホテルや物流施設、さらには航空機などの受益権を、従来のJ-REITとは異なる形態で保有可能です。


第6章:投資前に知っておくべき「3つのリスクと注意点」

オルタナティブ資産は「魔法の杖」ではありません。


以下のリスクを理解した上で投資する必要があります。

1. Jカーブ効果とロックアップ

プライベート・エクイティなどでは、投資初期にコストが先行し、一時的にマイナスになる「Jカーブ効果」が発生することがあります。


また、原則として途中解約ができない(ロックアップ)期間があるため、数年以内に使う予定のある資金(教育資金や住宅購入資金)は絶対に投入してはいけません。

2. 複雑な手数料体系

インデックスファンドの信託報酬(0.1%程度)に慣れていると、オルタナティブ資産の手数料は高く感じられます。


  • 管理報酬: 年率1.5%~2.0%程度

  • 成功報酬: 基準を超えた利益の約20%
    これらを差し引いてもなお、手元に残るリターン(ネットリターン)が魅力的かどうかを見極める必要があります。

3. 税制の違い

通常の投資信託であれば「申告分離課税(20.315%)」で損益通算が可能ですが、一部のオルタナティブ投資(匿名組合出資など)は「雑所得」扱いとなり、給与所得と合算して最大55%の税率がかかる場合があります(総合課税)。


「どのような税区分になるか」を確認してください。


2025年の税制改正議論にも注視が必要です。


おわりに:富裕層への階段を登るための「武器」を持つ

2025年、インデックス投資はもはや「攻め」の投資ではなく、インフレから資産を守るための「最低限の防衛策」になりつつあります。


資産が1000万円を超え、さらなる高みを目指すあなたが次に手にするべきは、市場の荒波に左右されない「オルタナティブ資産」という武器です。


「みんなと同じ」平均点を狙う投資から卒業し、ポートフォリオの一部に「流動性プレミアム」「非相関」を取り入れること。


これこそが、真の富裕層が実践している資産運用の神髄です。


まずは、ご自身のポートフォリオを見直し、現預金やインデックス投信に偏りすぎていないか確認することから始めてみませんか?


「サテライト枠」として資産の10%~20%をオルタナティブ資産に配分するだけで、あなたの資産運用は劇的に強固なものへと進化するはずです。



【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。プライベート・アセット投資には、元本割れのリスクや流動性リスクが含まれます。投資の最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。


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