多くの投資家は「いつでも現金化できること(流動性)」を重視しすぎ、本来得られるはずの利益を取り逃がしています。 これを金融用語で「流動性プレミアム」の放棄と呼びます。
「資産が1000万円を超えたが、銀行預金や積立投資だけでいいのだろうか?」
2026年1月現在、日本の金利環境は数年前とは変化し、「金利のある世界」が戻りつつあります。
しかし、依然としてメガバンクの普通預金金利はインフレ率に対して十分とは言えません。
多くの投資家は「いつでも現金化できること(流動性)」を重視しすぎ、本来得られるはずの利益を取り逃がしています。
これを金融用語で「流動性プレミアム」の放棄と呼びます。
資産1000万円は、マス層からアッパーマス層への入り口です。
この段階に達した投資家だけに許される特権。それこそが、資金を一定期間拘束(ロックアップ)させることと引き換えに、高い利回りを得る「非流動性資産」への投資です。
本記事では、2026年の最新トレンドを踏まえ、流動性を「売る」ことで資産拡大を加速させる、プロフェッショナルな運用戦略を解説します。
第1章:なぜ「流動性」を捨てると「利回り」が上がるのか
投資の世界には「非流動性プレミアム(Illiquidity Premium)」という鉄則があります。
これは、簡単に換金できない資産ほど、投資家が負う不便さの対価として、期待リターンが高く設定される仕組みのことです。
投資家が恐れる「ロックアップ」の正体
「ロックアップ」とは、投資した資金が数ヶ月から数年単位で引き出せなくなる期間のことです。
初心者はこれをリスクと捉えますが、資産家はこれを「チャンス」と捉えます。
表の通り、流動性が低い資産ほど、市場のパニック売りの影響を受けにくく、運用者は長期的な視点で戦略を立てられるため、結果として利回りが向上します。
機関投資家の成功モデル「イェール大学基金」
世界で最も成功している機関投資家の一つ、イェール大学の基金(エンダウメント)は、ポートフォリオの大部分を「流動性の低い資産(未公開株、森林、不動産など)」に配分しています。
彼らは「今後10年使わないお金を、いつでも引き出せる状態で置いておく必要はない」と割り切っているのです。
1000万円というまとまった資金を持つあなたも、この「機関投資家マインド」を取り入れる準備が整っています。
第2章:1000万円プレイヤーが「ロックアップ」を許容できる理由
なぜ、資産100万円や500万円の段階ではなく、「1000万円」からがロックアップ運用の適齢期なのでしょうか。
それは「生活防衛資金」の相対比率が下がるからです。
「カサンドラ・クロス」を超える資金力
人生には急な出費(失業、病気、冠婚葬祭)がつきものです。
これに対応するための現金を「生活防衛資金」と呼びます。
一般的に生活費の6ヶ月分~1年分が必要です。
<月々の生活費が30万円の場合>
必要な生活防衛資金: 30万円 × 6ヶ月 = 180万円
この180万円を確保した上で、残りの資金をどう運用するかを考えます。
資産300万円の人: 残り120万円。全額を株式などの流動性資産にするのが無難。
資産1000万円の人: 残り820万円。このうち300万~500万円をロックアップしても、生活には微塵も影響がない。
つまり、1000万円プレイヤーは、「使わないお金(死に金)」を「働くお金」として長期間拘束させる余裕(バッファ)を持っているのです。
この余剰資金こそが、非流動性プレミアムを享受するためのチケットです。
第3章:2026年版「流動性」を売って買うべき投資商品4選
では、2026年1月現在、具体的にどのような「ロックアップ商品」が推奨されるのでしょうか。
新NISA(2024年開始)の枠外、あるいはサテライト戦略として検討すべき4つの選択肢を提示します。
1.プライベート・デット/ソーシャルレンディング
【ロックアップ期間:6ヶ月~2年】
【目標利回り:4%~8%】
銀行が融資できないような企業やプロジェクトに対し、投資家がお金を貸し出す仕組みです。
2026年は、AI関連スタートアップや、再生可能エネルギー関連への融資ファンドが活況です。
メリット: 株価変動の影響を受けにくい。満期まで待てば、予定された金利が入る「固定利回り」的な性質。
注意点: 貸し倒れリスク。担保余力の高い案件や、保証付きのファンドを選ぶ目利きが必要。
2.不動産クラウドファンディング(劣後出資型)
【ロックアップ期間:1年~3年】
【目標利回り:3%~6%】
現物不動産投資には数千万円が必要ですが、クラウドファンディングなら1口1万円や10万円から投資可能です。
2026年現在、都心部のマンション価格は高止まりしていますが、物流倉庫やデータセンターへの小口投資が人気を集めています。
優先劣後構造の活用: 多くのファンドでは、物件価格が20~30%下落しても、投資家の元本が守られる「優先劣後システム」を採用しています。
戦略: 株式市場が暴落しても、賃料収入は急には変わりません。ポートフォリオの安定剤として機能します。
3.ヘッジファンド(国内私募投信)
【ロックアップ期間:四半期~1年ごと】
【目標利回り:10%以上(実績ベース)】
かつては「1億円から」が常識だったヘッジファンドですが、近年は1000万円から受け入れる国内ファンドや合同会社スキームを用いた小口化が進んでいます。
絶対収益の追求: 市場が上がっても下がっても利益を出す戦略(ロング・ショートなど)を取ります。
2026年の潮流: 従来型の株式ロングショートに加え、AIによる高速取引(HFT)や、暗号資産アービトラージを行うファンドのパフォーマンスが注目されています。
4.ステーキング(暗号資産の定期預金)
【ロックアップ期間:数日~365日】
【目標利回り:3%~15%】
「怪しい」と言われた時代は終わり、2026年には大手金融機関も参入している分野です。
イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)などの主要ブロックチェーンのネットワーク維持に貢献することで報酬を得ます。
ボンディング期間: ステーキングを解除してから手元に戻るまで数日~数週間かかる設定(ボンディング)があります。これも一種のロックアップです。
戦略: ポートフォリオの5%程度に限定し、ドルコスト平均法で購入した現物をロックして枚数を増やす戦略が有効です。
第4章:実践シミュレーション(流動性維持 vs ロックアップ活用)
実際に、1000万円のポートフォリオで「流動性を維持し続けた場合(A)」と「一部の流動性を売った場合(B)」の5年後の資産推移をシミュレーションします。
<前提条件>
運用期間:5年
追加投資なし(元本1000万円のみ)
税金は考慮せず(概算)
パターンA:完全流動性重視(臆病なポートフォリオ)
すべていつでも現金化できる資産で構成。
銀行預金(0.2%):500万円
国債・社債(1.0%):300万円
インデックス投信(5.0%):200万円
総合平均利回り:約1.4%
【5年後の資産額】
約 1072万円 (+72万円)
物価上昇率が年2%の場合、実質価値は目減りしています。
パターンB:ロックアップ活用型(攻守兼備ポートフォリオ)
生活防衛資金以外を積極的に「ロックアップ」して利回りを稼ぐ。
銀行預金(0.2%):200万円(生活防衛資金)
新NISA・株式(6.0%):300万円(いつでも売れる成長枠)
不動産クラウド/デット(5.0%):300万円(ロックアップ期間1~2年)
ヘッジファンド等(10.0%):200万円(ロックアップ期間1年以上)
総合平均利回り:約5.3%
【5年後の資産額】
約 1295万円 (+295万円)
その差は歴然
たった5年で、約220万円もの差がつきました。
この差は「運」ではありません。
「流動性を手放す」という意思決定の対価なのです。
パターンBでも、200万円の現金と300万円の流動性株式(計500万円)があるため、急な出費にも十分対応可能です。
これが「1000万円プレイヤー」の強みです。
第5章:ロックアップ運用のリスク管理と出口戦略
流動性を売る戦略には、当然リスクがあります。
以下の3つのルールを徹底してください。
ルール1:償還時期(満期)を分散させる「ラダー戦略」
すべての資金が「3年後まで引き出せない」状態にするのは危険です。
Aファンド:6ヶ月後償還
Bファンド:1年後償還
Cファンド:3年後償還
このように、階段(ラダー)状に満期が来るように商品を組み合わせます。
こうすることで、半年ごとに現金が手元に戻り、再投資するか消費に回すかを選択できます。
ルール2:怪しいファンドを見抜く「分別管理」の確認
高利回りを謳う詐欺(ポンジ・スキーム)には注意が必要です。
分別管理: 運営会社の資産と、投資家の資産が明確に分けられているか。
監査証明: 外部監査が入っているか。
トラックレコード: 過去の運用実績が公開されており、償還遅延がないか。
これらが不透明な商品は、どれだけ利回りが良くても避けるべきです。
ルール3:コア・サテライト戦略の徹底
ロックアップ資産はあくまで「サテライト(衛星)」あるいは「ミドルリスク枠」です。
資産の根幹(コア)は、S&P500や全世界株式(オール・カントリー)などの伝統的な資産クラス、そして現預金で固めるべきです。
ロックアップ資産の比率は、最大でも総資産の40~50%程度に留めるのが黄金比です。
まとめ:不自由さを愛せる者が、富を掴む
2026年、投資環境はより高度化・複雑化しています。
ただ漫然と「S&P500を買って放置」していれば誰でも勝てた時代から、より戦略的なアセットアロケーションが求められる時代へとシフトしています。
「流動性を売って、利回りを買う」
この概念は、資産1000万円を超えたあなただからこそ実行できる、大人の投資戦略です。
手元のスマートフォンの画面上で、いつでも売却ボタンが押せる安心感に、高いコスト(機会損失)を支払っていませんか?
生活防衛資金(約200万円)を確保する。
新NISAなどの流動性資産を埋める。
余剰資金を、期間の定めがある「非流動性資産(不動産・デット・PE)」に配分する。
この3ステップを踏むことで、あなたの資産は「市場のノイズ」から隔離され、静かに、しかし確実に増殖を始めます。
次の目標である「準富裕層(資産5000万円)」への最短ルートは、この不自由な期間(ロックアップ)を愛することから始まります。
まずは、手元の現金の「待機資金」がどれくらいあるかを確認し、10万円程度の小口ファンドから「流動性売り」を試してみてはいかがでしょうか。
【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。プライベート・アセット投資には、元本割れのリスクや流動性リスクが含まれます。投資の最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
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