Published 22 Jan 2026

生の債券(既発債)を買う資格。投資信託にはない「満期」と「確定利回り」を資産運用のアンカーにする

生の債券(既発債)を買う資格。投資信託にはない「満期」と「確定利回り」を資産運用のアンカーにする

2026年1月現在の不透明な為替相場を経験し、「確実性」の価値を再認識した方も多いのではないでしょうか。 そこで脚光を浴びているのが、投資信託(ファンド)ではない、「生の債券(個別債券)」、その中でも特に「既発債(きはつさい)」への投資です。


資産運用において、1,000万円という金額は一つの節目です。


これまでは「資産を増やす」ことだけに注力していたフェーズから、「資産を守りながら、着実に増やす」フェーズへとシフトするタイミングだからです。


株式市場が好調なとき、多くの投資家はリスクを取りがちです。


しかし、2022年から続いた世界的な金利変動やインフレ、そして2026年1月現在の不透明な為替相場を経験し、「確実性」の価値を再認識した方も多いのではないでしょうか。


そこで脚光を浴びているのが、投資信託(ファンド)ではない、「生の債券(個別債券)」、その中でも特に「既発債(きはつさい)」への投資です。


本記事では、なぜ富裕層や準富裕層がこぞって「生の債券」ポートフォリオのアンカー(錨)として組み入れるのか、そのメカニズムと具体的な戦略について徹底解説します。


第1章:なぜ今、「投資信託」ではなく「生の債券」なのか

多くの個人投資家にとって、債券投資といえば「債券型投資信託」が一般的でした。


プロが運用し、少額から分散投資ができる点は大きなメリットです。


しかし、資産規模が大きくなるにつれ、投資信託の構造的な弱点に気づき始めます。


それは、「満期がない」ことと「利回りが確定しない」ことです。

1-1. 投資信託には「約束された未来」がない

債券型投資信託は、常に債券を売買し続けるため、ファンドとしての「満期」が存在しません。


これは、「自分がいつ、いくら受け取れるか」が永遠に確定しないことを意味します。


金利が上昇すれば基準価額は下落し、売却したいタイミングで元本割れしているリスクが常に付きまといます。

1-2. 生の債券が持つ最強の武器「償還(満期)」

一方、生の債券には明確なゴールがあります。


発行体(国や企業)が破綻しない限り、「いつ(満期日)」「いくら(額面金額)」が戻ってくるかが、購入した瞬間に確定します。


市場価格がどれだけ暴落しようとも、満期まで持ちきれば約束された額面金額が返ってくる。


この「再現性の高さ」こそが、1,000万円以上の資産を持つ投資家が、ポートフォリオの安定化(アンカー)として生の債券を選ぶ最大の理由です。

【比較表】債券型投資信託 vs 生の債券(個別債券)


項目

債券型投資信託

(ファンド)

生の債券

(個別債券)

満期(償還)

原則なし

(無期限)

あり

(購入時に確定)

利回り

変動する

(実績分配型)

購入時に確定

(持ち切り前提)

元本確保

保証なし

(売却時の時価)

満期時に額面金額で償還

途中売却

いつでも可能

(時価)

可能だが、

流動性が低い場合あり

再投資

自動で行われることが多い

自分で再投資する必要がある

コスト

信託報酬が毎日引かれる

購入時のスプレッド(価格に含まれる)のみ

NISA対応

対応商品が多い

原則対象外

(課税口座のみ)



第2章:新発債ではなく「既発債」を狙うプロの視点

生の債券を買う場合、「新発債(新しく発行される債券)」「既発債(すでに市場で流通している債券)」の2種類があります。


資産運用の玄人が好むのは、圧倒的に「既発債」です。

2-1. 選択肢の多さが桁違い

新発債は、募集期間が決まっており、そのタイミングで発行される銘柄しか買えません。


一方、既発債は世界中の市場ですでに取引されている膨大な銘柄の中から、自分の好きな「通貨」「利回り」「満期」を選んで購入できます。


  • 「3年後の子供の教育資金に合わせたい」

  • 「10年後の定年退職に合わせたい」


このように、自分のライフプランに合わせて、パズルのピースを埋めるように債券を選べるのが既発債の魅力です。

2-2. 「アンダーパー(額面割れ)」という錬金術

2026年現在、過去の金利上昇局面で発行された債券(低クーポンの債券)は、価格が下落して取引されているケースが多くあります。


例えば、額面100ドルの債券が、90ドルで売られている状態を「アンダーパー」と呼びます。


この債券を90ドルで買えば、保有期間中はクーポン(利息)を受け取りつつ、満期には必ず「100ドル」で償還されます。


つまり、「利息収入(インカムゲイン)」+「償還差益(キャピタルゲイン)」のダブル取りが確定するのです。


これは既発債ならではの投資妙味です。


第3章:2026年の投資環境と「アンカー」としての役割

2026年1月現在、世界の金融市場は新たな局面にあります。


インフレの鎮静化に伴い、極端な利上げ競争は終わりましたが、金利水準は過去10年と比較して依然として魅力的な水準(高止まり、もしくは緩やかな低下局面)にあります。

3-1. 株式ポートフォリオの「保険」として

資産が1,000万円を超えると、全額を株式(S&P500やオルカンなど)で運用するのは精神的な負担が大きくなります。


株式市場が30%暴落した際、資産が700万円に減るストレスに耐えられる人は多くありません。


ここで、資産の30%~50%を「生の債券」で持ちます。

債券部分は満期まで持てば元本が戻るため、株式市場が嵐のときでも、「資産の半分は無傷で、かつ利息を生み出し続けている」という事実が、投資家のメンタルを支える「アンカー(錨)」となります。

3-2. 債券価格の上昇(値上がり益)も狙えるフェーズ

金利と債券価格はシーソーの関係にあります。


  • 金利が上がる → 債券価格は下がる

  • 金利が下がる → 債券価格は上がる


2026年以降、もし米国の政策金利が引き下げサイクルに入れば、現在保有している高利回りの既発債の価値(価格)は上昇します。


満期まで待たずに途中売却して利益を確定させる戦略もとりやすくなります。


第4章:具体的な銘柄選定とポートフォリオ戦略

では、具体的にどのような既発債を選べばよいのでしょうか。


リスク許容度に応じた3つのティア(階層)を紹介します。

【Tier 1】 鉄壁の守り:米国国債(トレジャリー)

  • 信用度: 最高ランク

  • 特徴: 世界で最も安全な資産の一つ。流動性が高く、いつでも売却可能。

  • 活用法: 「無リスク資産」として現金の代わりに保有。

  • 2026年の視点: 依然として3%〜4%程度の利回りが確保できるなら、銀行預金に置く理由は皆無です。割引債(ゼロクーポン債)を選べば、毎年の課税を繰り延べて満期時に一括課税にすることも可能です(※税制の詳細確認は必要)。

【Tier 2】 バランス重視:投資適格社債(IG社債)

  • 信用度: 格付けBBB以上(Apple、Microsoft、大手金融機関など)

  • 特徴: 国債にプラスして、0.5%〜1.5%程度の上乗せ金利(スプレッド)が得られる。

  • 活用法: ポートフォリオの主力。倒産リスクが極めて低い世界的企業の債券。

  • 注意点: リーマンショック級の危機では一時的に価格が下がりますが、倒産しない限り償還されます。

【Tier 3】 高利回り狙い:劣後債・ハイイールド債

  • 信用度: BB以下、もしくは大手金融機関の劣後債

  • 特徴: 株式に近い高い利回りが魅力だが、発行体リスクがある。

  • 活用法: 資産全体の10%以下に留めるスパイス的な位置づけ。

おすすめの配分例(資産1,000万円・50代の場合)

  • 全世界株式(投資信託): 500万円(50%)

  • 米国国債(既発債): 200万円(20%)

  • 米ドル建て社債(既発債): 200万円(20%)

  • 日本円現金: 100万円(10%)


この配分であれば、株式が暴落しても、債券からの利金(インカム)が精神安定剤となり、狼狽売りを防ぐことができます。


第5章:見落としがちなリスクとデメリット

良いこと尽くめに見える「生の債券」ですが、資格を持つ投資家だからこそ理解すべきリスクがあります。

5-1. 為替リスク(円高リスク)

海外の債券を買う以上、避けて通れないのが為替です。


ドルベースでは年4%で増えていても、購入時より「10%円高」になれば、円換算での資産価値は目減りします。

対策

「円に戻すこと」を前提にしないことです。


ドルはドルのまま持ち、将来の海外旅行、子供の留学費用、あるいは米国株への再投資資金として使う「通貨分散」の視点を持ちましょう。


資産1,000万円以上であれば、資産の一部を外貨で恒久的に保有するのは合理的な防衛策です。

5-2. NISAが使えない

2026年現在、新NISAの「成長投資枠」であっても、個別の債券は投資対象外である証券会社がほとんどです。

(※一部の仕組み債などを除くが、通常の米国債などは対象外)


生の債券から得られる利子や償還益には、特定口座(または一般口座)で20.315%の税金がかかります。

考え方

税制メリット(NISA)は株式(投資信託)でフル活用し、守りの資産である債券は「コスト(税金)」を払ってでも「安全性と確実性」を買う場所だと割り切る必要があります。


すべての資産を非課税にすることに固執して、リスクを取りすぎるのは本末転倒です。

5-3. 最低購入単価の壁

投資信託は100円から買えますが、生の既発債は銘柄によって最低購入単位が異なります。


  • 米国国債:100ドル〜1,000ドル単位(約1.5万円〜15万円)

  • 社債:1,000ドル〜2,000ドル単位、ものによっては20万ドル(約3,000万円)単位


個人向けに小口化されている銘柄を選ぶ必要がありますが、SBI証券や楽天証券などのネット証券大手では、1,000ドル(約15万円前後)から買える既発債が豊富にラインナップされています。


第6章:実践編・既発債の買い方マニュアル

ここでは、主要なネット証券で既発債を購入する際の手順とチェックすべき重要用語を解説します。

STEP 1:債券検索ページへ

証券会社のサイトにログインし、「債券」→「外国債券」→「既発債」のページへ進みます。


ずらりと並んだ銘柄リストに圧倒されないでください。

STEP 2:スクリーニング(絞り込み)

以下の条件で絞り込むのが王道です。


  • 通貨: 米ドル(世界基軸通貨の安心感)

  • 残存年数: 自分の資金拘束が許される期間(例:3年〜10年)

  • 格付け: BBB以上(投資適格)

STEP 3:重要指標「利回り」の確認

画面には主に2つの利回りが表示されています。


  1. 利率(クーポン): 毎年受け取れる利息の率(対 額面金額)。

  2. 最終利回り(複利・単利): 購入価格(アンダーパーやオーバーパー)と残存期間を考慮した、満期まで持った場合の実質的な年利回り。


見るべきは「2. 最終利回り」です。


「利率」が低くても、債券価格が安ければ(アンダーパー)、最終利回りは高くなります。


ここが最も重要な判断基準です。

STEP 4:購入(単価と数量)

債券は「単価(%)」で取引されます。

  • 単価95.00 = 額面100ドルあたり95ドルで購入可能。

  • 額面数量1,000ドル分買う場合:1,000 × 95% = 950ドル(+経過利子と為替コスト)が必要です。


第7章:結論・「読めない未来」に対抗する唯一の手段

2026年、AIの進化や地政学リスクなど、未来の予測はますます困難になっています。


株価が来年どうなるかは、誰にも分かりません。


ウォーレン・バフェットでさえ、短期的な株価は予測しません。


しかし、「米国国債の既発債を買えば、米国が破綻しない限り、〇年〇月〇日に〇〇ドルが返ってくる」ということは、ほぼ100%の確率で予測可能です。


資産1,000万円を超えたあなたに必要なのは、すべてを賭けて増やすギャンブルではなく、「計算できる未来」をポートフォリオに組み込むことです。


投資信託の「曖昧さ」から卒業し、生の債券という「確約されたリターン」を手にする。


それこそが、真の資産運用への入り口であり、豊かな資産家へのパスポートなのです。


まずは、証券会社の既発債リストを眺めることから始めてみてください。


そこには、投資信託にはない「確定した未来」が並んでいます。



【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。プライベート・アセット投資には、元本割れのリスクや流動性リスクが含まれます。投資の最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。


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