この世界は、というかこの宇宙全体がなんらかの分子の集合体で構成されている。これは長年の科学の研究によって自明なことだ。
ということはだ、私たちの体も全部分子の集合体でできている。分子が敷き詰まった空間なのだ。ここで自分の体を赤いボールだけが集まったボールプールだと考えてみよう。そして自分以外の空間を青いボールプールだと考えてみよう。ボールプールで遊んだことがある人ならわかると思うが、仮に同じプール内に赤いボールばっかりのエリアと青いボールばっかりのエリアが固まっていたとしても子供がそのボールプールの中ではしゃぎ回るだけで赤と青の境界はなくなりゴチャゴチャになる。このように自分という存在を赤いボールの集合という考えに戻ると自分の体の中に青いボールが入ってきていることになる。ただそこにいるだけなのに。
このように人との関わり、環境との関わりといったものは思った以上に自分たちに対して多大な影響を良くも悪くも与えているし、その程度というのは人と関われば関わるほど、環境と関われば関わるほど自分のアイデンティティとは何かということがわからなくなるほどに影響を及ぼす。
もう一つこの世界を分子という視点で見ると見えてくるものがある。質量保存の法則というものをご存知だろうか。物質が化学変化する過程において物質の総量は常に変化しないというものだ。簡単な例で言うと、コーヒー10gと牛乳20gを混ぜたら30gのコーヒー牛乳ができると言うことだ。実際に混ぜてみるとコーヒー牛乳が29gなってしまったとしてもその1gは蒸発したか注ぐ時にコップからこぼれたかなどでどこかしらには存在していてこの宇宙から消え去ることはないのだ。そう、消え去ることはないのだ。この宇宙にあるものはこの宇宙が誕生した瞬間から全て存在していたのだ。これはかなり驚きの真実ではないか。たしかに原始時代にテレビやスマートフォンはなかった。だけど、その元となる素材はその素材の元となる分子は宇宙が誕生した瞬間からそこにあったのだ。これらのことが質量保存の法則でわかる。
もう少し踏み込んでみよう。あなたは自分の年齢を何歳だと思っているだろうか。20歳?42歳?68歳?5歳?違う。約138億歳だ。あなたを構成してる全部の分子が138億年前からこの宇宙に存在してるのに何を5歳なことがあるか。こういった結果が導き出される。強いてゆうならばあなたと言う集合体を作ってから5年が経った。それが5歳と言うことだと言えるだろう。
世界を分子単位で捉えるとこのように新たな視点が獲得できたと思う。何の役に立つわけではないが人生が違う色に色づくような考察になれば尚のこと嬉しい。