Published 20 Oct 2025

【松村 哲州】エンジェル投資を累計1億円してわかったこと

【松村 哲州】エンジェル投資を累計1億円してわかったこと

累計1億円以上エンジェル投資する松村哲州にエンジェル投資の戦略についてインタビューを実施。

Q:まずは、簡単に自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか?


A:松村哲州と申します。兵庫県川西市出身で、現在は東京と大阪を拠点にIT事業や経営コンサルティングを中心に活動しております。国外ではカンボジアにて肥料の製造・販売事業を展開しており、地域の農業発展にも取り組んでいます。

また、個人としてはエンジェル投資家の立場からベンチャー企業への出資を行うとともに、単なる資金提供にとどまらず、経営支援や実務的なハンズオンでのサポートにも取り組んでいます。こうした関わりを通じて、企業の成長を伴走しながら支えていくことに大きなやりがいを感じています。

当然ですが、支援のスタイルは出資先ベンチャーのニーズやスタンスに合わせています。中には「自分で全てをコントロールしたい」という代表もいますので、その場合はこちらから過度に関与することはありません。


Q:エンジェル投資を始めたきっかけと、現在、何社投資し、累計何円投資しているか教えてください


A:きっかけですが、2017年頃に東南アジア(カンボジア)で事業を展開していた知人の会社に強い関心を抱き、自ら出資の機会を得られないかと申し出ました。

これまでに直接投資やLP投資を合わせて15社ほどに関わってきました。総額としては一億円強です。規模感でいうと最小投資額は100万円、大きな案件では30万ドルです。案件ごとにフェーズや可能性が違うので、zoomで面談させて頂き、その都度柔軟に判断しています。

現在は年間で2〜3社ほどに絞っており、1社あたりの出資額も200万〜500万円程度にとどめています。過去の経験からも、リスク分散と無理のないペースを意識しながら取り組むようにしています。



Q:現在、スタートアップとの出会いはどこで作られていますか?


A:尊敬する先輩投資家からのご紹介やプロトコル社のサービスを通じて投資の機会を得ることが多いです。いわゆるピッチコンテストのような場にはあまり足を運びません。自分にとっては、信頼できる方々のネットワークや実績ある仕組みを通じて出会う方が性格に合っているので。


Q:エンジェル投資をしてみたメリットとデメリットを教えていただけますと幸いです。


A:メリットとして一番大きいのは、出資先のベンチャーを通じて有能な人材やパートナーを紹介していただける機会が多いことです。今の自分の本業にもつながり、新しいビジネスの広がりや相乗効果を生んでいます。一方でデメリットを挙げるとすれば、やはりベンチャー投資はリスクが高い点ですね。短期的にリターンが得られるものではありませんし流動性も皆無に近いです。場合によってはゼロになる可能性もある。ですので、純粋な収益目的だけでなく、応援したい思いや長期的な視点を持つことが必要だと感じています。実際に、最初に投資したベンチャーでは前述の30万ドルを失う結果となりました。大きな学びではありましたが、同時にこの世界の厳しさやリスクの現実を身をもって体験できた出来事でもあります。その経験があるからこそ、以降の投資ではより冷静に判断できるようになりましたし、単なる資金提供にとどまらず、事業の中身や経営陣との信頼関係を重視するようになったと思います。最初の出資は結果として大きな損失にはなりましたが、その経験を起点に新しいご縁や学びが生まれ、今の本業にもつながっている部分が少なくありません。そう考えると金銭的なリターン以上に得たものが大きく、十分に元は取れたと感じています。


Q:今後エンジェル投資をしようと目指している方に対して一言いただけますと幸いです。


A:あたりまえのことではありますが、投資はあくまで自己責任であり、必ず余剰資金で行うべきだと思います。借入金を使ってまで投資に踏み出すのは愚の骨頂で、リスクを過大に抱え込むだけです。身の丈に合った範囲で取り組むことが、長く続けていく上でも重要だと考えています。