Published 08 Dec 2025

債券以上・株式未満のリスクリターン。「プライベート・デット」で狙う年利5%〜の安定インカム

債券以上・株式未満のリスクリターン。「プライベート・デット」で狙う年利5%〜の安定インカム

もしあなたが1000万円以上の金融資産を保有し、このような悩みを抱えているならば、今、機関投資家や富裕層の間で急速に資金が流入している「プライベート・デット」という選択肢を知る必要があります。

2025年12月現在、私たちを取り巻く資産運用環境は、数年前とは劇的に変化しました。


米国の利下げ局面への転換、そして日本国内における「金利ある世界」への回帰。


伝統的な資産クラスである「株式」と「債券」だけでは、かつてのような安定したリターンを得ることが難しくなっています。


「株式ほどの激しい値動きには耐えられないが、国債のような1〜2%の利回りでは資産寿命が尽きてしまう」


もしあなたが1000万円以上の金融資産を保有し、このような悩みを抱えているならば、今、機関投資家や富裕層の間で急速に資金が流入している「プライベート・デット」という選択肢を知る必要があります。


本記事では、2025年の最新トレンドを踏まえ、なぜ今プライベート・デットが「債券以上・株式未満」の最適解となり得るのか、その仕組み具体的な活用法資産1000万円以上の投資家に向けて徹底解説します。


第1章:2025年、なぜ今「プライベート・デット」なのか

株式と債券の「隙間」を埋める資産

プライベート・デットとは、一言で言えば「銀行以外の投資家が、未上場企業に対して直接融資を行うこと」を指します。


これまで、企業の資金調達といえば銀行借入(バンクローン)か、市場で社債を発行する(パブリック・デット)が主流でした。


しかし、2008年のリーマンショック以降、銀行に対する自己資本規制が強化され、銀行が中堅企業への融資を絞らざるを得なくなりました。


その「資金の出し手不足」を埋める形で成長したのがプライベート・デットです。


2025年の現在、世界のプライベート・デット市場は2兆ドル(約300兆円)規模に迫る勢いで成長しています。

投資家にとっての「3つの魅力」

資産1000万円以上を保有する層にとって、この資産クラスが魅力的な理由は以下の3点に集約されます。


  1. 安定したインカムゲイン(年利5%〜10%程度)

    • 伝統的な債券よりも高い利回りが期待できます。

  2. 金利上昇に強い「変動金利」

    • 多くのプライベート・デットは変動金利を採用しているため、市場金利の上昇がリターン向上に直結します。

  3. 株式市場との低い相関性

    • 未上場資産であるため、日々の株価変動(ボラティリティ)の影響を直接受けません。


第2章:リスク・リターンの位置付けを可視化する

投資の世界において、プライベート・デットは「ミドルリスク・ミドルリターン」の代表格です。


以下の表で、他の主要資産クラスと比較してみましょう。

【資産クラス別リスク・リターン比較表(2025年12月版)】


資産クラス

主な収益源

期待リターン(年率)

リスク

(価格変動)

流動性

(換金しやすさ)

インフレ

耐性

預貯金・国債

利息

0.5%〜2.0%

極めて低い

即時 〜 高い

低い

公募社債(IG)

利息

3.0%〜4.5%

低い

高い

中程度

プライベート・デット

利息 + 手数料

5.0%〜10.0%

中程度(限定的)

低い(原則満期保有)

高い(変動金利)

J-REIT

配当 + 値上がり

4.0%〜6.0%

中 〜 高い

高い

中程度

世界株式

配当 + 値上がり

7.0%〜12.0%

高い

即時

高い



太字で示した通り、プライベート・デットは「株式のような激しい値動きを避けつつ、債券よりも高い利回り」を狙える位置にあります。

なぜ高利回りが可能なのか?

「うまい話には裏があるのでは?」と考えるのは、賢明な投資家の証です。


プライベート・デットのリターンが高いのには、明確な経済的理由があります。


これを「イリクイディティ・プレミアム(非流動性プレミアム)」と呼びます。


  • 流動性の犠牲: 株式のように「今日売って明日現金化」ができません。通常、数年単位で資金が拘束されます。この「不便さ」の対価として、上乗せ金利が支払われるのです。

  • 複雑性の対価: 融資先の審査やモニタリングには高度な専門性が必要です。この手間賃もリターンに含まれます。


第3章:資産1000万円以上の投資家が知るべき「安全性」の仕組み

プライベート・デットへの投資を検討する際、最も懸念されるのは「貸したお金が返ってこないこと(デフォルト)」でしょう。


しかし、この資産クラスには、投資家を守るための強固な仕組みが存在します。

1:シニア・セキュアード(優先担保付)

プライベート・デットの主流である「ダイレクト・レンディング」の多くは、シニア・セキュアードという形態をとります。


これは、万が一企業が破綻した場合、「他のどの債権者や株主よりも優先して、企業の資産から弁済を受ける権利」があることを意味します。


株式投資の場合、企業が倒産すれば価値はほぼゼロになりますが、シニア・デットであれば、担保処分によって元本の多く(歴史的には回収率60〜80%程度)が戻ってくる可能性があります。

2:コベナント(財務制限条項)

融資契約時に、企業に対して厳しい財務規律(コベナント)を課します。


  • 「利益に対して借入が〇倍を超えてはいけない」

  • 「現預金を常に〇〇円以上維持すること」


これらに違反した場合、貸し手(ファンド側)は経営への介入や金利の引き上げ、早期返済を要求できます。


つまり、「致命的な状態になる前にブレーキを踏む権限」を持っているのです。


第4章:2025年最新版・プライベート・デットへの投資方法

数年前まで、プライベート・デットは「最低投資金額1億円以上」という、超富裕層や機関投資家だけの特権でした。


しかし、2025年の現在は「プライベート資産の民主化」が進み、資産1000万円〜数千万円クラスの投資家にも門戸が開かれています。

方法1:国内証券会社・銀行での「私募ファンド」購入

大手証券会社やプライベートバンク部門において、ブラックストーンやアレス、KKRといった世界的な運用会社が組成するファンド日本の個人投資家向けに販売するケースが増えています。


  • 最低投資額: 300万円〜1000万円程度

  • 特徴 セミ・リキッド(四半期ごとの解約機会がある等)ファンドが増加。

  • 注意点: 購入手数料や信託報酬がやや高めに設定されている場合があるため、コスト控除後の利回り(ネットリターン)を確認することが重要です。

方法2:オルタナティブ投資プラットフォームの活用

FinTechの進化により、オンライン完結で富裕層向けのファンドにアクセスできるプラットフォームが台頭しています。


  • 最低投資額: 100万円〜

  • 特徴: 仲介コストを抑えているため、効率的な運用が可能。アプリで運用状況を可視化できる利便性も魅力。

ポートフォリオへの組み入れ方(推奨例)

資産1000万円以上の方への推奨アロケーション(配分)は以下の通りです。


【総資産2000万円の投資家の例】

  • コア資産(守り)1000万円(現預金・国債・高格付債券)

  • サテライト資産(攻め)600万円(世界株式・インデックス投信)

  • オルタナティブ(安定収益)400万円(プライベート・デット)


このように、資産の10%〜20%をプライベート・デットに割り当てることで、株式市場が暴落した際の下支え役(クッション)として機能させます。


第5章:投資前に必ず確認すべき「3つのリスク」

メリットばかりではありません。


プロとして、以下のリスクを直視する必要があります。

1:Jカーブ効果と流動性リスク

プライベート・デットは、投資初期にコスト(手数料)が先行し、リターンがマイナスから始まる「Jカーブ」を描くことがあります。


また、「急にお金が必要になった」としても、すぐに現金化できない、あるいは解約にペナルティがかかるケースが大半です。


対策: あくまで「当面(3〜5年)使う予定のない余裕資金」で投資すること。

2:信用リスクの二極化

2025年の高金利環境下において、財務体質の弱い企業の淘汰が始まっています。


すべてのプライベート・デットが良いわけではありません。


「誰に貸しているファンドなのか」が重要です。

対策: 投資対象が、景気変動の影響を受けにくいセクター(ソフトウェア、ヘルスケア、BtoBサービス等)に分散されているかを目論見書で確認しましょう。

3:為替リスク

海外(主に米国)の企業に貸付を行うファンドの場合、ドル円の為替変動の影響を受けます。


年利8%のインカムを得ても、10%の円高が進めばトータルリターンはマイナスになります。


対策: 「為替ヘッジあり」のクラスを選ぶか、資産全体での通貨分散(円資産とドル資産のバランス)を考慮して投資しましょう。


第6章:2026年に向けた展望とアクションプラン

2025年12月、米国の利下げサイクルは緩やかに進行していますが、過去のゼロ金利時代に戻る可能性は低いと予測されています。


「高止まりする金利」は、借り手企業にとっては負担ですが、貸し手(プライベート・デット投資家)にとっては「高い分配金が継続する」という追い風になります。


また、日本の投資家にとっては、国内金利の上昇により「円建て債券」の魅力が薄れる(価格下落リスク)中で、海外の変動金利資産を持つことの合理性は高まっています。

資産1000万円超の投資家がとるべき具体的なステップ

  1. 資金の「色分け」
    今後5年以内に使う予定のない「長期運用資金」がいくらあるか計算する。

  2. アクセスの確認
    取引のある証券会社や銀行の担当者に「個人向けのプライベート・デット・ファンド(特に、BDCやセミリキッド型)の扱いはあるか?」と尋ねてみる。または、信頼できるオルタナティブ投資プラットフォームに口座を開設する。

  3. スモールスタート
    まずはポートフォリオの5%程度から開始し、分配金の入金サイクルやレポートの内容を確認しながら、徐々に比率を高めていく。

結論

プライベート・デットは、もはや「知る人ぞ知る」投資先ではありません。


株式のボラティリティに疲弊した投資家にとって、「年利5%〜の安定インカム」は精神的な安定剤となります。


資産1000万円というマイルストーンを超えたあなただからこそ、単なる「積立投資」の次のステップとして、機関投資家品質の運用を取り入れる資格があります。


2026年を、あなたのポートフォリオが真に「プロ仕様」へと進化する一年にしてください。


記事要約(Key Takeaways)

  • 定義: プライベート・デットとは、未上場企業への直接融資。銀行貸出の代替として急成長。

  • 利回り: 年利5〜10%程度。変動金利のため、インフレ・金利上昇局面に強い。

  • 安全性: 「優先担保付」により、株式よりも元本回収の確実性が高い。

  • 流動性: 原則として換金性が低いため、余裕資金(資産の1〜2割)での運用が鉄則。

  • 2025年の戦略: 「金利ある世界」の恩恵を享受できる最有力な資産クラス。

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