Published 06 Oct 2022

Spotifyが、コンテンツ管理技術を提供する「Kinzen」の買収を発表

Spotifyが、コンテンツ管理技術を提供する「Kinzen」の買収を発表

Spotifyは2022年10月6日、2020年からストリーマーとパートナーシップを組んでいたアイルランドのダブリンを拠点とするコンテンツモデレーション技術を提供するスタートアップ「Kinzen」を買収すると発表した。取引条件などは明らかにされていない。

Kinzenは2017年に設立され、「危険な誤報や有害コンテンツ」から公共の会話を守ることをミッションとして掲げている。Spotifyでは、機械学習と人間の専門知識(地元の学者やジャーナリストの分析など)を組み合わせて、ポッドキャストやその他のオーディオをより適切に管理できるよう、Kinzenの技術が活用されることになると同社は述べている。

このコンテンツ管理という領域は、SpotifyのトップポッドキャスターであるJoe Rogaが、自身の番組でコロナワクチン関連の誤報を流したという問題が発生したなど、課題となっていた領域である。この問題は、270人の医師や科学者がSpotifyに対して公開書簡に署名し、誤報に関するポリシーを作成してこの問題に対処するよう要求したり、ハッシュタグ#deletespotifyがトレンドとなり、ニール・ヤングやジョニ・ミッチェルといった著名なアーティストが抗議のために同サービスから楽曲を取り下げるなどの問題に発展した。

Spotifyはその後、コロナウィルスと誤報に関するポリシーを改訂したが、批評家や専門家は、大きなインパクトを与えるには至らなかったと主張している。また今年6月、Spotifyはプラットフォームに公開されるコンテンツをよりよく管理するための新たな一歩として、Spotifyの今後のコンテンツモデレーションに関する決定を任務とする「安全諮問委員会」の設立を発表していた。

Kinzen社のソリューションは、テクノロジーと人間の専門知識を組み合わせてスケールアップすることで、プラットフォームがコンテンツモデレーションの問題にリアルタイムでより迅速に対応できるようにすることを目的としている。Kinzenの一連のツールにより、後に誤報のリスクとなる可能性のあるナラティブやトレンドに早期に警告を出し、プラットフォームが事前に計画できるようにすることができる。これには、医療誤報、反ユダヤ主義、ヘイトスピーチ、気候誤報、暴力的過激主義、その他複数の市場や言語にわたる危険な誤報など、広範な分野の分析が含まれる。オーディオ、ビデオ、テキストベースのコンテンツに対応し、ポリシー違反に関する実用的なインサイトを提供する。

SpotifyのPRグローバル責任者であるDustee Jenkinsが以下のように述べている。

「当社は、Kinzen社およびその優れたチームと、長年にわたり影響力のある協力的なパートナーシップを築いてきました。今、私たちは一丸となって、有害なコンテンツを検出し、対処する能力をさらに向上させることができます。また、地域の状況をよりよく考慮した方法で対処できるようになるということが重要です。この投資は、プラットフォームの安全性に対するSpotifyのアプローチを拡大し、クリエイターとユーザーにとって安全で楽しい体験を生み出すということ対して当社がをいかに真剣にコミットメントしようとしているかをを明確にするものです」