株式会社Sales and Innovation Japan(以下、Sales and Innovation Japan)は、「スタートアップを支援する我々もまたスタートアップであれ」をモットーに掲げ、営業力とビジネス構想力で、幅広い企業のサポート支援を展開している。新規事業開発支援、人材採用支援、BtoBプラットフォーム開発などのサービスを提供し、これまでに300社以上のプロジェクト支援を行ってきた。営業人材の育成や採用支援をサポートし、企業がグローバルに活躍できる人材を確保するとともに、新しい価値となるビジネスの挑戦について、代表取締役社長の冨田氏に話を伺った。インタビュアーは、エンジェル投資家の福田和博氏が務める。
スタートアップ支援に特化したソリューション提供
福田:御社では、スタートアップへの支援サービスを事業の柱に据えていると伺っていますが、具体的にどのような事業を展開されているのか教えていただけますか?
冨田:弊社の事業は主に二つの柱で構成されています。一つ目は、新規事業の支援です。私たちは「ベンチャー企業」と「大企業の新規事業部門」の両方をスタートアップと位置づけ、それぞれのニーズに合わせた支援を行っています。二つ目は、営業支援です。ただのBPO(業務委託)ではなく、営業プロセスで得られた仮説の導出や、組織内製化、人材育成までを一貫してサポートしています。
新規事業立ち上げ支援(インキュベーションセールス)におけるサービス提供範囲
福田:大手企業への新規事業支援では、どのようなアプローチを取っていますか?
冨田:弊社の役割は、企業様が生み出した事業の「種」を、しっかりと「仕組み」に育て上げることです。自社から新規事業のアイデアを提案するというより、すでに存在する企画を実装し、着実に市場に定着させることに力を注いでいます。たとえば、サービス利用者への直接ヒアリングや営業活動を通じて得られた課題感や使用感、コスト面のフィードバックを企業様に提供しています。
知識を実践へ繋げる人材育成
福田: 営業支援では、多岐にわたる商材知識を扱うことが求められます。人材育成における工夫や特化しているマネジメント方法があれば教えてください。
冨田: これまでに300以上のプロジェクトを通じて得たノウハウを活かし、業界を横断する「ベーシックスキル」の習得を育成の柱としています。特定の知識は必要に応じて都度インプットし、学んだ内容を確実にアウトプットさせることで、効率的かつ効果的なスキル向上を実現しています。このプロセスによって、3か月半から半年で即戦力となる人材を育ててきました。
福田:教育のベースとして大切にされている部分はなんでしょう?
冨田:PDCAサイクルを徹底的に回す育成体制を整えることです。不確実性の高い領域を支援するスタートアップでは、型にはまったやり方だけを継続しても成功の意図は見えてこないと考えています。仮説を立てて検証し、壁にぶつかった際には、自ら突破口を切り開ける人材を育成しています。未経験者を毎年10名から20名の採用をしたとしても、しっかりとした育成体制を整えることで3か月から半年ほどで自走できるような仕組みになっています。
冨田氏へのオンラインインタビューの様子
未経験者を成長させる育成モデル、営業アウトソーシングの未来
福田:営業のアウトソーシングが一般的ではなかった時代に事業を始められました。その背景について、どのようにお考えか教えてください。
冨田:2000年代初めは、営業支援会社は片手で数えられるほどしかありませんでした。しかし、私は当時からスタートアップと関わる機会が多くありました。スタートアップを支援することで新規事業を成長させ、それが日本全体の産業発展につながると感じていたのです。個人のやりたいことと社会の成長基盤が一致することで、非常に魅力的な事業が生まれると確信し、あえてメジャーではない領域に挑戦して会社を立ち上げました。
福田:会社を設立した当初は、思い描いていなかったリソースやニーズもみえてきたのでしょうか?
冨田:企業様の支援を続ける中で、アウトソーシング以外にも多くのニーズがあることがわかってきました。アウトソーシングを活用したい企業様がいる一方で、採用した社員の育成や新人教育に力を入れたいという企業様も多くいらっしゃいました。そのため、社内での内製化を図る必要性を強く感じ、支援の幅を広げていくことになったのです。
私たちは未経験者を採用し、独自の育成モデルでしっかりとスキルを磨かせることで、価値を提供できる人材に育てる実績を積んできました。その経験を活かし、営業支援に加えて「内製化組織の強化」という2つの軸で事業を展開しています。このように、企業様の多様なニーズに応えながら、営業のアウトソーシングだけでなく、人材育成と組織作りの支援も行い、より包括的なサポート体制を構築しています。
顧客基盤拡大を目指す資金調達のビジョン
福田:スタートアップ支援について、今後どのような支援サービスやニーズを考えていますか
冨田:Sales Enablement領域において、企業のトップラインを向上させるサービスを展開していきたいと考えています。現在のSaaS系サービスでは、パイプラインの拡充よりもコスト削減が目的になることが多いですが、私たちは営業が自立的に活動できるレベルのサービスを提供し、企業全体の生産性向上を目指したいです。具体的には、仮説検証を企業内部で回せるようなソフトウェアを開発し、汎用性の高いプロダクトに仕上げたいと考えています。
福田:スタートアップが初期段階で売上を高めるための重要なニーズですね。一方で、商材や顧客の違いから既存の営業ルートを利用できない場合もあると思いますが、その場合、営業サポートのアプローチはどうなりますか?
冨田:基本的にはスタートアップ支援と同様のアプローチを取りますが、大企業の場合は既存事業部への引き継ぎや、汎用性のある営業プロセスの確立が中長期的に求められます。特に、大企業が抱えるイノベーションの種を適切に顧客に届けることが重要です。そのため、営業サービスを立ち上げ、確実に成果につなげられる体制を構築したいと思っています。
福田:最後に、資金調達や投資家の方へメッセージはありますか
冨田:これまで、エンジェル投資家の方々に資金面や仕組み作りの支援をいただきながら、サービス展開を進めてきました。今後は、顧客基盤や営業リソースを共有できるVCやCVCの支援が必要だと考えています。既存顧客への新しいサービス提供や、POC(実証実験)を含めたサービス開発を加速させられる環境があれば、事業の成長スピードをさらに上げることができると確信しています。
インタビューを終えて
スタートアップのシード・アーリー期においては、素晴らしいプロダクトやサービスを持ちながらも、組織として売り切る力を持つのが難しいという課題が多く見られる。新しい人材を確保したり、業務委託で体制を整えたりしても、カルチャーフィットするまでに時間がかかる場合がほとんど。大企業でも人材の入れ替わりや商材に応じた営業手法への対応に苦戦し、トライ&エラーを繰り返して成長が停滞する局面が必ず訪れる。こうした状況において、営業支援のサポートが最初のトラクションを生み出す役割を果たすことで、成長の型を組織に定着させる可能性があると考えている。特に初期の売上を高める段階において、同サービスには非常に高いニーズが存在することを感じた。新しい挑戦が続く中、今後どのように成長を遂げていくのか、さらなる活躍に期待したいと思う。
【担当ライター】平野芹奈
株式会社Sales and Innovation Japan事業概要
株式会社Sales and Innovation Japanは、営業力とビジネス構想力で、様々な企業の事業拡大、売上拡大をサポートしています。国内企業が取り組むECサイトの立ち上げや、海外企業の日本国内におけるセールステストマーケティングなど、大小国籍問わず、新規事業を支援してきました。セールステックを始めとしたテクノロジーによる営業効率化が進んでいるなか、この領域に新たにチャレンジし、営業活動や人材調達を支援拡大に挑んでいる。
会社名:株式会社Sales and Innovation Japan
URL:https://www.salesandinnovation.co.jp/
設立:2013年4月4日
代表取締役社長:冨田 憲一
本社:東京都品川区東五反田5-27-10 野村ビル10階
事業内容:営業代行事業、採用支援事業、BtoBプラットフォーム事業、新規事業立ち上げ支援事業、営業組織構築支援事業
冨田憲一氏のプロフィール
24歳でグローバルエージェンシーを創業。その後、創業した会社を一旦離れ株式会社リクルートに入社。マーケット開発部にて通期目標連続達成、46期全社MVPノミネート、年間新規契約社数部門トップを成し遂げる。2006年よりインターネットサービス企業の創業メンバーとしてソーシャルメディアの立ち上げ、商品設計、採用業務を担当した後に退社。業界大手営業代行会社に新規事業およびセールス・マーケティング責任者として参画。2013年4月株式会社Sales and Innovation Japanを設立。営業現場で即使えると話題のSPIN勉強会やビジネスやマネジメントに関する勉強会を年間120回ペースで主催している。
【参考】既存記事や各種SNSへのリンク集
・リーンセールスを特徴した事業拡大支援サービス
https://www.salesandinnovation.co.jp/service/salesmarketing.html
・営業支援メディア「salesINSIGHT(セールスインサイト)」
https://www.salesandinnovation.jp/salesinsight/
・現場から生まれた超実践イネーブルメントプログラム
https://www.enablementacademy.jp/
・BtoB領域、セールステック領域で新サービスを開発・提供
https://www.salesandinnovation.co.jp/service/platform.html
・BtoB領域を対象とした新規事業やSaaSのチームや営業に特化したサービス
「URUTRA(ウルトラ)」https://www.urutra.jp
・開発会社や制作会社の「人材情報・案件情報」をシェアできるプラットフォーム
「GILDZ(ギルズ)」https://www.gildz.jp
インタビュアー 起業支援家/エンジェル投資家 福田和博氏 プロフィール
東北大学工学部機械知能工学科→大学院情報科学研究科を修了。
㈱東芝 研究開発センターでICT分野の研究開発に従事後、ソニー㈱でオーディオ商品の企画・戦略・事業開発を担当。
2015年に横浜で起業し、複数の新規事業の立上げとM&A Exitを経験後、起業支援家/エンジェル投資家としてハンズオン型で支援中。
(一社)日本ワーケーション協会 公認ワーケーションコンシェルジュ
iU(情報経営イノベーション専門職大学)客員教授
NEXs Tokyo(東京都スタートアップ支援施設)投資家メンター
【PROTOCOLプロフィールページ】
https://protocol.ooo/ja/users/55c8607d-f7a1-46ea-94e5-593785e8db41