Published 20 Oct 2022

心を動かす「ピッチ」と面白い「漫才」との関係について考察してみた。

心を動かす「ピッチ」と面白い「漫才」との関係について考察してみた。

お笑いの仕事をしていました。

こんにちは。パンダビジョンの佐野と申します。
僕は前職はお笑いの吉本興業で広報PRやプロデューサーなどの仕事をしていました。例えば「オールザッツ漫才」という関西の名物番組や、お笑いイベントの企画なども担当させていただきました。

吉本興業で勤務した11年半は、「お笑い」がとても身近にありました。ある日、若手芸人が多数出演する劇場のイベントで審査員を担当した時があります。

若手芸人にとってコンテスト形式のイベントで結果を出すことはとても意味のあることです。それゆえ、審査する側も緊張しますし、公平に審査するにはどうすれば良いかと考えました。

漫才の評価基準

その時、僕が考えた自分なりの審査基準です。

① 何を言っているかわかる
プロの芸人さんにとって、滑舌の良さや、話すスピードのコントロールなどはとても重要です。小さな劇場でも50人から100人、大きな劇場では1000人近い観衆の前で漫才やコント、ピン芸を演じなければいけません。
そもそも、何を言っているか分からなければ笑い起きません。早口になりすぎて聞き取れないのもマイナスです。緊張する場面だと、意外とプロの芸人さんでも「何を言っているか分からない」人もいました。

② 「つかみ」でお客さんの注意を引く
「つかみ」のネタというのは漫才で最初にちょっとした自己紹介と共に行う小ネタのことです。演者側がどんなキャラでどんな関係性でどんなネタをやるかをコンパクトにまとめられています。
つかみがうまくいくと、その後の本ネタへの導入もうまくいきやすいです。
逆に、つかみに失敗すると、笑いづらい空気が流れてしまうでしょう。

③ ネタの独創性
お笑いにはたくさんのパターンがありますが、たくさんの芸人さんが競い合ってネタを披露してるとテイストが被ってしまうことも少なくはありません。意外性のあるネタや、その芸人さんならではの独創性があるネタには自然と惹きつけられます。
ただし、これは無理に奇抜なことをするのが良いという意味ではありません。

④ 話の展開やテンポの良さ
漫才はボケとツッコミを繰り返しながら、そのネタの世界観を広げて笑いをとっていきます。一本のマイクとお笑い芸人さんというシンプルな世界観を、話術だけでお客さんにネタの世界観を想像させていくかが重要です。
トークスキル、ネタの構成力、ボケとツッコミのテンポなど、お笑い芸人としてのネタの秀逸さやスキルが試されます。

⑤ オチの気持ちよさと意外性
ネタには必ずと言っていいほど「オチ」が存在します。意外性があって、綺麗なオチがあるネタには笑いと共に拍手が起こります。審査員の立場なら良い点をつけたくなりますし、ファンならもっとその芸人さんのネタを見たいと思うはずです。

スタートアップの良いピッチとは

話を大きく戻します。
僕は今、スタートアップ企業が参加するピッチイベントや投資家、投資会社に対して「ピッチ」をする機会が増えています。ピッチとは「出資してほしい」「協業したい」といった目的のためにするプレゼンテーションのことです。

僕は、この「ピッチ」というやつが苦手でした。投資家やスタートアップイベントでもあまり結果が出ない日々を過ごしていた中で、これって「漫才」と似てるんではないかと思うようになりました。

① 何を言っているかわかる
ピッチも漫才も同じで、声やジェスチャーを使ったコミュニケーションです。独りよがりになると、ついつい早口になったり、声が小さく(もしくは大きすぎる)なってしまいます。何を(どんな内容を)言っているかが、不特定多数の相手に伝わなければ意味がありません。緊張している時こそ、意識してゆっくり、口をしっかり動かすように心がけています。

② 「つかみ」でお客さんの注意を引く
優れた「ピッチ」は、面白い漫才のように冒頭で観衆の心を掴んでいます。
良いピッチでは、「誰が」「どんな課題」に対して、どのような「解決策」を提示するかを冒頭30秒程度で分かりやすく説得力を持って伝えています。

③ ネタの独創性
良いピッチ、良い事業にはその会社にしかできない独創的な問題解決の方法があります。いわゆる「競合優位性」です。なぜ、自分の会社にしかできないのか、さまざまなエビデンスやチームの強みなどによって説明していきます。

④ 話の展開やテンポの良さ
ピッチでも表現力と話のテンポの良さは重要です。スタートアップのピッチコンテストでは、10社が続けてピッチを披露するといったことは普通です。どうしても聞いている方は飽きてきます。話の表現力やテンポの良さがあれば、最後まで飽きずに聞いていることができます。

⑤ オチの気持ちよさと意外性
漫才同様にピッチでも、最後のオチに変わるまとめの部分があります。
こういう理由でこういう強みがあるから、「協業先を探したい」「資金調達したい」というピッチの目的やお願いごとの提示です。
ピッチでも最後の締め方で良い印象を持たせられるかが決まってきます。

ピッチと漫才は似ている、はず

ということで、吉本国業でたくさんの「お笑い」に携わった経験と、スタートアップ企業の経営者としてピッチする立場の両方を経験した僕なりの「ピッチ=漫才」理論でした。

どちらも相手に自分の思いを伝えるという表現活動であることに変わりはありません。何度も練習したり、偉大な先輩たちの過去のアーカイブを研究することや、色々な立場の人にフィードバックをもらうことが上達の近道です。

株式会社パンダビジョンでは、オリジナルなIPを通して海外進出するという夢を持っています。連日のように、誰かにピッチを行って意見を聞いています。最初は本当にダメダメでしたが、皆様のおかげで少しずつ良いピッチができるようになりました。

もし、少しでもパンダビジョンの事業に興味を持った方は当社までお気軽にお問い合わせくださいませ。

会社名:株式会社パンダビジョン
代表取締役:佐野篤
設立日: 2019年6月3日
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