Published 07 Feb 2023

【田中清生】「東南アジアの都市をアップデートする」世界に挑戦する日本人起業家

【田中清生】「東南アジアの都市をアップデートする」世界に挑戦する日本人起業家

「東南アジアの都市をアップデートする」

Zenmov株式会社代表取締役の田中清生は、自信に満ちた表情で会社の事業を話してくれた。

2019年、東南アジア諸国を中心とするカオスな交通を、ITの活用により規律あるスマートな交通に変革することをビジョンに掲げて設立されたのがZenmov株式会社だ。フィリピンをはじめとした東南アジアでは自家用車の普及並びにライドシェアリングのサービス活用が増えているが、車の面積に対して乗車している人数が少ないこと。そして道路面積が少ないため、あっという間に交通渋滞に巻き込まれてしまうことが常態化していた。

田中はそのような交通状況を解消すべく、“SMOC”(Smart Mobility Operation Cloud)を交通事業者へ提供することで、ITを活用した規律ある交通の実現を目指している。

今回はそんな田中の生い立ちからSMOCを立ち上げた背景、今後の未来についてインタビューを試みた。

キャリア

東京都八王子で生まれ育った田中。3歳年上である生徒会長を務めていた兄の背中を近くに感じていたこと、また先生に勧められたこともあり、中学校では生徒会長になっていた。高校に入ってからも生徒会の活動をやり切った。「幼少期に人をまとめる立場にいた経験は、今の社長業にも活きている」と当時を振り返る。

生徒会の活動を全うし、東工大学へ進学した。当時身の回りで流行を感じていたバイオテクノロジーを学ぶために東工大を目指した。

就職活動では当時のトレンドであったベンチャー気質である外資系IT企業に入社を決めた。SEとしてプログラミングを行っていくと同時に、正確に納期を決めることが難しかった半導体事業で、パッケージを作ることに取り組んでいった。

3年間SEをしたのちに、法人営業の部署へ異動した。仕事を着実にこなしアカウントマネージャーを任せられることになった。そして法人営業の部署で数年在籍後、次のステップへ進みたいという気持ちが強くなっていった。

「40代の法人営業をやっている方と、20代の自分の仕事が変わらないことに気づいた。いつまで自分はこの仕事をやっているんだろう。何かで成長を遂げて次のステップへ進みたい。」。次のステップへ進むためには実務経験があるかMBAを持っていることが当時社内で重要になっていたため、環境を一新してMBA取得を目指した。

MBA取得後

MBAをイギリスの経営大学院で取得し日本へ帰国後、新しい事業を大きな企業で行いたいと思い多国籍携帯電話事業会社の日本法人へ入社した。そこでMVNOの立ち上げに携わることになった田中。その半年後に会社が大手電気通信事業者に買収され、米国のエンターテインメント企業が展開するモバイルサービスの立ち上げと運用に4年ほど携わることになった。

その後、輸送業向けの運行サービスの立ち上げに関わることになった。初期の投資が会社から大きく受けれない状態であったために、田中を筆頭に予算を集める必要があった。

資金を集める中で様々な困難と出会い、「しがらみのない、真っ白な状態で資金を獲得しに行った方がうまくいくのではないか」という気持ちが田中の中で渦巻いていくようになっていった。

そんな時に、フィリピンで交通効率化事業に関わっていた同僚から「ITを活用したい」と相談を受けたことを機に現地に赴き、現在の事業となるSMOCの可能性を見出して起業を決意した。

起業

2019年、田中はZenmov株式会社を設立し、2019年11月にモビリティ事業を開始する。その3ヶ月後の2020年2月にはフィリピン共和国マカティ市に子会社を設立した。

「技術革新を通じて社会の発展と人々の幸せに貢献する」ことを理念とし、「多くの人々に必要とされる会社」をビジョンとした。日本にとどまらない、海外をマーケットとした事業は、日本の政府、そして海外の政府を巻き込む勢いでスタートした。

しかし、ここから事業を大きく拡大していくというタイミングでコロナウイルスの流行により事業が滞ってしまった。

それからは事業パートナーと開発を進めながら関係構築を行い続けた。そしてコロナが落ち着いた2022年から2023年現在、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)から資金調達を実施し、更なる事業拡大を試みて人材採用にも力を入れている。

どのような人材を求めているのか伺うと、

「優秀な人がいてもバッターボックスに立てない人が多い。陰で埋もれている人材を今までたくさん見てきた。そんな人にZenmovは裁量権を渡せる環境がある。」と自身の経験からこう語った。Zenmovは田中のマネジメント力と海外経験から、フィリピン国籍の人材も採用し、グローバルに事業を進めている。

Zenmovは更なる事業拡大に向け、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの支援のもと、フィリピンのクラークエリアにおけるSMOCを用いたスマートモビリティの実証を3か年に渡り実施していく計画であり、ここでの成果も踏まえて、「今後はベトナムやインドネシア、タイ等周辺の東南アジア各国に展開させていきたいと考えている」とZenmovの未来について語ってくれた。

提供するサービスについて

モビリティサービスを実現したい事業者様に対してSMOC (Smart Mobility Operation Cloud)をOEM(ホワイトラベル)提供しています。Zenmovが提供するSMOCは4つの要素で構成されています。①乗客が使う、ユーザーアプリ。②ドライバーがスケジュール確認や、システムからの指示を確認できるアプリ。③運行管理者が、現在の運行状況や、運行の予実管理をできるアプリ。④データを蓄積して、より高い生産性を発揮するための分析を行うサーバーサイドの機能。

これらを提供することによりスマートな交通システムの実現を目指します。その他システムサービス、システム開発、製品販売なども事業として行っている。(提供する商品の詳細についてはURLを参照→https://zenmov.com/smoc/)

田中は引き続き人材採用を行っていくと共に、時代や場所によって起こる課題を解決するためにサービス拡大をはかっている。


Zenmov株式会社の魅力

海外マーケットを中心に事業を進めているZenmovには、他の企業にない魅力が詰まっている。2023年1月現在、ZenmovではエンジニアやBizDevのメンバーを募集している。まだインフラが整い切っていない海外のマーケット開拓に挑戦できる機会は滅多にないのではないだろうか。「バッターボックスに立てるチャンス」、つまり裁量権が大きい組織で活躍する未来。最新の技術を使ったシステム開発、国を跨いだ開発、プロジェクトリード、海外展開のリードなど。グローバルなメンバーと共に、日本にとどまらず海外でも活躍の幅を広げたいと考えている方はZenmovの求人をご覧になってみてはいかがだろうか。