資金調達。多くの起業家が頭を悩ませる瞬間。資金調達ができるかどうかで事業の成長スピードは変わります。しかし、資金調達を実施するのには多くの壁があります。そこで、ますはじめに取り掛かるであろう、資金調達資料の作り方を解説したいと思います。テンプレートもあるのでダウンロードしご自由にお使いください。
テンプレート▼
https://drive.google.com/drive/folders/1LfOzT4M2gEdu7Fr3MTN-3JcUmEqcxmC5
ダウンロードしてから使用してください。
投資家はどの点をみているのか、資料を作る上でのポイント踏まえながらテンプレートを1枚づつ解説していきます。
資料構成としては、
01 会社概要
02 サービス紹介
03 ビジネスモデル
04 競合との違い
05 ロードマップ
06 市場規模
07 事業計画
08 資金調達
09 Appendix
という順序で資料の構成を作るのがいいでしょう。実際に多くの資金調達資料はこのような構成になっています。他社の資金調達資料を見たい場合は、"世界のスタートアップの参考ピッチ資料41選。シードからレイターの資金調達"という記事でまとめているのでこちらをご覧ください。 https://protocol.ooo/articles/pitchdeck2021
それでは、一つ一つ解説していきます。
01 会社概要
この章は、
01-1 会社情報
01-2 経営陣
01-3 メンバー
01-4 株主一覧(株主がいない場合は省略)
01-5 ビジョン・ミッション
01-6 解決したい課題
という構成になります。
01-1 会社概要
ここでは、会社の正式名称、オフィスの所在地、取締役の氏名など会社の一般的な情報について記入しましょう。
01-2 経営陣
ベンチャー投資家は、プロダクトのないプレシードやシードラウンドなどの場合は特に、創業者(経営陣)を重視します。
そのため、このページでは創業者(経営陣)の経歴や実績、その領域で事業を行う背景など、単に自己紹介文ではなく、事業との関連性を持たせた文章を書きましょう。
01-3 メンバー
このページでは、チーム構成を記載します。
投資家、創業者だけでなく、そのスタートアップがどういった役割のメンバーで何人いるかという点も重視します。特にソフトウェアを提供する会社は、デザイナーやエンジニアが揃っているということをアピールすべきです。
このページでも主要メンバーに関しては、経歴や実績なども表記すると尚いいでしょう。
01-4 株主一覧(株主がいない場合は省略)
投資家にとってのスタートアップの第一印象は誰が投資しているかという点が大きく影響します。例えば、多くの実績を持つエンジェル投資家が投資をしている場合や優良なインキュベーターがインキュベーションしているスタートアップなどは、その事実が一定のフィルターとなり、他の多くのスタートアップよりも資金調達という目的に近づくことができます。
また、必ずしも資料に記載する必要はないですが、プレゼンの際にはなぜその投資家が投資をしてくれたのかを説明できるようにしましょう。
01-5 ビジョン,ミッション
このページは、どんな世界を創ろうとしているのか、何を達成しようとしているのかを説明するスライドになります。ビジョンやミッションを設定することは資金調達資料に必要な以上に会社の最上段の方向性や社内メンバーの共通認識をすり合わせるためのプロセスです。資料という観点では、ビジョンやミッションは次のスライドの課題と一致している必要があるでしょう。
01-6 解決したい課題
このページでは、あなたのスタートアップが事業を通してどんな課題を解決したいのかを説明します。
当然ですが、如何に優れたプロダクトを作ってもそのプロダクトが解決できる課題がなければスケールすることはできません。ペルソナとなるユーザーに対して入念なユーザーヒアリングを行うことにより、課題の解像度を高めましょう。課題の解像度が低いと投資家には刺さらないことがほとんどです。
02 サービス紹介
この章では、
02-1 サービスコンセプトとサービスの概要
02-2 サービス特徴
02-3 実績
という順番で構成します。
02-1 サービスコンセプトと概要
このページでは、どんなサービスを提供しようとしているのかを説明します。
サービス・プロダクトの詳細ではなく、サービス・プロダクトを一言で表現すると何かという観点のスライドにしましょう。この一言の説明は、例えば海外プロダクトにベンチマークしている場合「日本版の○○」や、すでにあるプロダクトを特定の領域に絞って提供する場合は「○○特化の××」といったように、投資家が容易にそのプロダクトをイメージできるような言葉で表現するといいでしょう。
02-2 サービス特徴
このページでは、そのプロダクト・サービスにどんな特徴があるのかを説明します。
例えば、仮に営業SaaSツールを作るとした場合、
- 顧客リストの自動洗い出し
- 自動アポ取り
- クライアント対応
などそのプロダクトの機能を説明し、その機能を通してどういった結果が顧客にもたらされるかなどを簡潔に説明しましょう。
02-3 実績
このページでは、自分たちのプロダクトが如何に優れていて、どのようにそれが数値に反映されているかという実績を説明します。
自分たちがKPIに設定している数字とその数字を実現できた理由や今後の見込みなどを説明しましょう。
また、投資家は今後の成長確度を重視する傾向があるので、は現在の数値が如何に優れているかよりも今後その数値が如何に成長していくか、という予測やその根拠を示すことが大事なポイントです。
プロダクトがまだないアイデア段階の場合はこのスライドは省略しても構いません。
03 ビジネスモデル
03-1 マネタイズ
このページでは、マネタイズ方法および、単価を説明します。
どのような方法・戦略で売り上げを作っていくのか説明できるといいでしょう。
04 競合との違い

この章では、
04-1 ポジションマップ
04-2 強み
という構成になります。

04-1 ポジションマップ
このページでは、競合他社との違いを説明しましょう。
数多の競合サービスがある中でどのポジションを築こうとしているのか、まだその市場は空いているのか、自分たちのサービスがなぜ業界でトップクラスに入れるのかをわかりやすく説明しましょう。
04-2 強み
このページでは、競合と比較して何が強みになるのかを説明します。
さきほどのスライドのポジションマップも含め、どういった要素によってそのポジションを気付いていくのか、競合よりも市場を取るための強みはなにかを簡潔に説明しましょう。
例えば、創業者の経歴やネットワーク、エンジニアの開発力、すでに投資してくれている投資家、独自性など様々な側面から記載しましょう。
05 ロードマップ
05-1 ロードマップ
このページでは、いつまでに何を実現するか、各フェーズとマイルストーンなどを説明しましょう。このには具体的な数字などがあるとよいでしょう。
06 市場規模
06-1 市場規模
このページでは、この市場は成長産業なのかという観点で市場規模を説明します。
市場が衰退していく事業を展開していくのはナンセンスです。現在と比較してこれから市場が大きなっていくことをアピールしましょう。
07 事業計画
この章では、
07-1 売上/ 営業利益計画
07-2 キャッシュフロー計画
07-3 人員計画
という構成になります。
07-1 売上/ 営業利益計画
このページでは、売上と利益がいつまでにどれだけでるのかを説明します。
事業のモデルによって売り上げの伸び方は変わりますが、理想としては指数関数的に伸びていくといいでしょう。
07-2 キャッシュフロー計画
このページでは、資金調達の計画とキャッシュバーン、売り上げの3つの要素によってどのようにキャッシュフローが推移するのかを説明します。
07-3 人員計画
このページでは、どれくらいの期間でどれくらいの、どのポジションの人員を採用するのかということを説明します。
以前に説明した事業計画をチーム構成という観点でどう実現するかということを念頭に人員計画を作りましょう。
08 資金調達
この章では、
08-1 タームシート 普通株式の発行、優先株式の発行、J-KISS型新株予約権の発行
08-2 資金使徒
という構成になります。
08-1 タームシート
このページでは、今回の資金調達のタームについて説明します。
まず、普通株式、優先株式、コンバーチブルエクイティのJ-KISSなど、どのような手法で資金調達するのか選び、その諸条件についてまとめましょう。
07-2 資金使途
このページでは、調達した資金の使い道を説明しましょう。
投資家はそのラウンドのバリュエーションと調達額をかなり吟味するので、そのバリュエーションと投資額の根拠となる資金使途をきちんと説明できる必要があります。
09 Appendix
Appendix以降に関しては、プレゼンテーションの際に質問されたときに使用するデータやエビデンスをまとめたスライドや、その他必要な情報をまとめたスライドを追加しておきましょう。特になければ省略可能です。
テンプレートの説明は異常となります。
是非、テンプレートを活用し資金調達の資料を作ってください。
テンプレート▼
https://drive.google.com/drive/folders/1LfOzT4M2gEdu7Fr3MTN-3JcUmEqcxmC5
ダウンロードしてから使用してください。